写真・トピックスで振り返る50年の歩み
生保労連がこれまでどのような考えの下、どういった取組みを行ってきたのか。ここでは、「50年の歩み」を写真とトピックスで振り返ります。
組合員のみなさんの労働条件の改善・向上に向け
各種の統一闘争を展開
統一闘争による相場形成・相乗効果機能の発揮を一貫して追求
生保労連「春闘総決起集会」を開催(1992年3月10日)
労働組合にとって、組合員のみなさんの労働条件の改善・向上をはかることは最も基本的な取組みです。
生保労連は、1969年の結成以来、産業別労働組合として、各組合を結集した統一闘争による相場形成・相乗効果の発揮を通じ、一貫して労働条件の改善・向上に取り組んできました。いわゆる「春闘」では、内勤職員の賃上げとともに、出来高給体系を基本とする営業職員の賃上げについても考え方を取りまとめるなど、営・内一体となって毎年要求実現に努め、今日に至っています。
相場形成・相乗効果を追求してきたのは賃金だけではありません。退職一時金・年金制度、業務上災害補償制度、労働時間・休暇制度の充実などにも統一して取り組み、組合員のみなさんの総合的な労働条件の改善・向上をはかってきました。
賃上げを中心とした取組みから「総合生活改善闘争」へ
2000年代に入ってから、生保労連の春闘は一つの大きな転換期を迎えます。その背景には、組合員のみなさんのニーズ・関心が多様化・個別化したことや、生保産業を取り巻く環境が大きく変化したことがありました。具体的には2002春闘より、それまでの賃上げを中心とした取組みから労働条件全般を見据えた「総合生活改善闘争」への転換をはかることで、組合員のみなさんの多様なニーズ・関心に一層応えていくこととしました。また、1990年代後半以降に相次いだ経営破たんなどの教訓から、労働組合として、経営に対するチェック・提言活動にも取り組んでいくこととしました。
総合生活改善闘争の強化に向け「人への投資」を要求の前面に掲げる
「働きがいの向上につながる『人への投資』を求める特別決議」を採択(2017年1月17日)
生保産業・各社を取り巻く環境は今日も厳しい状況が続いています。しかし、厳しい状況を乗り越える大きな原動力は組合員のみなさんの頑張りに他ならず、むしろ厳しい状況だからこそ、一人ひとりへの投資を通じて仕事へのモチベーションや働きがいを高めていく必要があります。
このような認識の下、生保労連は総合生活改善闘争を一層強化するために、2017春闘より「人への投資」という考え方を要求の前面に掲げ、より多くの成果獲得をめざしていくこととしました。
今後も生保労連は、様々な環境変化に対応しつつ、組合員のみなさんの労働条件を改善・向上させていきたいと考えています。
お客さまから信頼・支持される
営業職員体制づくりに向け、諸取組みを展開
営業職員体制の発展・強化に向けた提言・取組みを積極的に実施
生保労連は、営業職組合員が7割強を占める組織であり、営業職員体制の発展・強化を運動の大きな柱の一つと位置づけて取り組んでいます。
具体的には、結成以来、数次にわたり営業職員体制に関するプロジェクトチームなどを設置し、組織の英知を結集して提言を行うとともに、各種の取組みを行っています。
とりわけ、採用・育成状況を改善するため、厳選採用の徹底とともに、お客さまの負託に応える営業職員を育成する体制づくりを進めるなど、採用・育成問題の解決に注力してきました。
産業全体で営業職員の知識と販売スキルのさらなる向上をはかるため、生保協会との労使協議会で業界共通教育制度の充実を要請してきたのもその一環です。
これらの取組みや、営業職員の育成を担う機関長・機関長補佐に関する取組みを通じて、採用・育成状況の改善、営業職員の資質の向上をはかってきました。
営業職員が働きやすい環境をつくるため、理解拡大に向けた取組みを展開
営業職員のみなさんが自らの仕事に誇りをもって活動するためには、活動を正しく理解してもらうことが重要です。このため、生保協会との労使協議会において、営業職員の社会的な理解の拡大に向けた積極的な広報活動を行うよう強く要請するとともに、生保労連としても、消費者団体やマスコミ、有識者との日常的な意見交換に努めています。
なお、営業職員の職業意識に影響を及ぼす不適切なマスコミ報道があった際には、生保協会と連携しながら断固とした抗議活動を行っています。
お客さまからの意見・要望を、営業活動のさらなる高度化につなげるために
全国各地で生命保険U&Uネットワークを開催
2000年前後に生保産業では経営破たんが相次ぐとともに、保険金等の支払い問題が顕在化しました。また、金融商品販売法や消費者契約法が施行され、「消費者主権の時代」が到来したといわれました。
このように、生保産業に対する信頼回復や消費者対応が喫緊の課題となる中、消費者と組合員との相互理解をはかることを目的に2001年に「生命保険U&U(ユーザー&ユニオン)ネットワーク」をスタート、以来全国各地で開催を続け、通算で100回を超えています。
今後も生保労連は、時代の要請を踏まえつつ、お客さまから信頼・支持される営業職員体制づくりに向けて取り組んでいきます。
産業政策課題の解決に向け、
国政等への働きかけを実施
組合員の働く基盤や雇用を守るため、産業政策課題に取り組む
生保産業を取り巻く環境が大きく変化する中で、一人ひとりの努力や単位組合だけでは解決できない「国の政策・制度」に関わる様々な課題があります。
生保労連では、そうした諸課題を産業政策課題と位置付け、消費者保護および公平・公正な競争条件の確保を大前提としつつ、組合員の働く基盤や雇用を守るため、全組合員の力を結集し、継続的に国政、行政等へ積極的に働きかけを行っています。
ここでは、産業政策課題のうち、生保関連税制の拡充に向けた取組み、保険行政(保険審議会・金融審議会)への対応、郵政民営化問題に絞って振り返ります。
生保関連税制の拡充に向けた取組みを展開
生保関連税制の廃止・縮小の動きに反対する総決起集会を開催(2006年12月6日)
生保関連税制は国民の自助を後押しするとともに、営業職員をはじめとする組合員の支援につながる極めて重要な課題であるとの認識に立ち、結成当初から生命保険料の所得控除限度額の引き上げや相続税非課税限度額の引き上げ、個人年金保険料控除制度の創設・限度額引き上げ等に取り組んできています。
具体的には、要望書を取りまとめ、支援議員や生保協会と連携しつつ、国政や行政、上部団体である連合等へ理解を求めてきています。加えて、時々の情勢に応じて、署名活動、総決起集会、インターネットアンケート調査等を行ってきました。
長年のこれらの取組みを通じて、生保関連税制を取り巻く環境が厳しい中にあっても、その維持・拡充がはかられてきました。
保険行政(保険審議会・金融審議会)への対応
保険制度改革等は、生保経営のあり方さらには組合員の仕事や労働諸条件に大きな影響をもたらします。そうしたことから、結成当初より、その方向性を審議する保険審議会や金融審議会等の動向を注視するとともに、意見反映に努めてきました。
特に、1990年代初頭から、保険審議会で保険分野における金融自由化が議論されるようになり、1996年のいわゆる日本版ビックバン構想によって、銀行・証券・保険の相互参入に向けた議論が本格的に進められる中で、生保労連は、消費者保護と競争条件の公平・公正確保の観点から、銀行等による保険販売の問題点を挙げ、生保協会とも連携しつつ、支援議員や上部団体の連合、消費者団体などに理解を求めました。加えて、保険審議会での意見表明や、行政への抗議ハガキ活動、総決起集会等を行いました。その結果、弊害防止措置など、消費者を保護し、競争条件の公平・公正を確保するためのルールが設けられることになりました。
現在も、金融審議会等の動向を注視するとともに、定期的に金融庁とも意見交換を実施する中で、意見反映に努めています。
民間生保とかんぽ生命(旧簡易保険含む)との公平・公正な競争条件確保に向けた取組みを実施
産業政策課題の解決に向け、支援議員と連携(2018年11月1日政策研究会)
生保労連結成時には、郵政事業は民営化されておらず、「官業による民業圧迫」に対して、いかに対抗していくかという視点から、簡保対策は重要な課題でした。民間生保との公平・公正な競争条件の確保に向けて、加入限度額引き上げや新商品の創設等が検討される都度、支援議員と連携しつつ、署名活動、総決起集会、行政への抗議ハガキ活動、国会議員や政党への陳情活動等を行ってきました。
2007年10月に郵政民営化がスタートしてからも、政府出資が残る間は、公平・公正な競争条件が確保されていないことから、加入限度額の引き上げや新商品の創設等が検討される都度、断固反対する方針を表明しています。
産業政策課題を取り巻く情勢は引き続き厳しい状況が続いていますが、生保労連は、営業職員をはじめとした組合員のみなさんを支援するため、国政の動向等を注視しながら、粘り強い取組みを展開していきます。
被災地の復旧・復興と組合員の生活支援に向け、
各種取組みを展開
生保労連結成から今日までの50年間には、各地で震災、台風、豪雨などの自然災害が発生し、被災地の方々に大きな被害をもたらしました。労働組合として、自然災害が発生した時に、被災された組合員のみなさんの安全と暮らしを守ることは重要な課題の一つです。ここでは、自然災害に対する取組みについて振り返ります。
災害対策本部を設置し、被災地の復旧に向けた諸取組みを行う
被災地でのボランティア活動に参加
生保労連に加盟している各組合は、さまざまな自然災害の発生直後から、迅速に組合員の被害状況を把握し、最大限の支援活動を展開してきました。
そうした中、生保労連としても災害対策本部を設置して、被害状況や各社・各組合の支援活動の内容、営業活動に関する特別措置等について全組合での共有をはかるとともに、各組合への取組み支援に努めました。
あわせて、被災地への支援物資の提供、義援金の拠出に加え、上部団体である「連合」を通じて現地でのボランティア活動に本部役職員を派遣し、直接被災地の復旧にも取り組んできました。
また、自然災害発生時に営業職員のみなさんが、ご自身も被災者でありながらも、懸命にお客さまの安否確認や確実な保険金支払いにご尽力されたことは、生保産業内においては広く知られていることですが、生保労連はこのように営業職員のみなさんがお客さまに寄り添い、被災地域において重要な役割を果たしてきたことを、広く社会に向けても伝えてきました。
被災地の組合員が安心して暮らせるよう、生保協会に特段の対応を要請
生保産業労使での取組みとしては、生保協会に対して、労使協議会の場を通じて、被災地における組合員の安全確保、災害休暇や資格・給与に関する対応等について特段の配慮を行うよう要請を行いました。
あわせて、各種お手続きに関する簡易取扱いの実施など、お客さまに対する迅速かつ的確な対応も要請しました。
震災を風化させないための取組みを継続実施
東日本大震災の5年後に「絆フォーラム」を開催
2011年3月に発生した東日本大震災は未曾有の被害をもたらしました。生保労連では、同震災の5年後の2016年3月に、地域での絆・つながりの大切さや、被災地の復旧・復興状況などについて改めて共有するために、「絆フォーラム」を開催しました。
今後も、全国の被災された組合員、地域の方々、そして災害からのいち早い復興のために、産業別労働組合として取り組んでいきます。
この50年間、生保労連は、組合員のみなさんの労働条件の改善・向上、営業職員体制の発展・強化、生保産業の社会的理解拡大、産業政策諸課題の解決などに向けて、組織の総力をあげて取り組んできました。今後も、組合員のみなさんの負託に応え、一人ひとりが働きがいと誇りをもっていきいきと働ける生保産業をめざし、不断の取組みを進めていきます。