生保労連(全国生命保険労働組合連合会)は生命保険会社の営業部門・事務部門に働く労働者25万人(19組合)を組織する労働組合です。

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産業政策課題に関する取組み

生命保険に関連する各種ルールへの対応

生命保険には、お客さまに安心・納得してご加入いただくために、様々な制度やルールが設けられています。

金融・保険分野においては、新たなルールの整備や「規制緩和」が進められてきましたが、今後ともお客さまとともに発展する生保産業であり続けるためには、規制改革に取り組むべきルールと今後も堅持していくべきルールとをしっかりと整理することが必要です。

また、ルール等の見直しにあたっては「消費者保護」と「公正な競争条件の確保」を大前提に、検討すべきであると考えています。

 

生命保険商品の特性と消費者利益との関連を踏まえたルールの検討を

生命保険商品の募集・販売ルールについては、消費者利益に資するよう、様々な見直しが行われています。2005年4月に発足した金融庁「保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム」における検討結果を踏まえ、2006年4月からは「契約概要」や「注意喚起情報」の提供が、また、2007年4月からは「意向確認書面」が導入されました。

さらに、2013年6月に取りまとめられた金融庁「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ報告書」では、「保険募集・販売ルールのあり方」として「意向把握義務の導入」「情報提供義務の法定化」「募集文書の簡素化」や、「保険商品・サービスのあり方」として「不妊治療に係る保険」「サービス提供業者への保険金直接支払い」等が示されました。

この「意向把握義務」や「情報提供義務」の導入とそれに伴う新たな措置は、その後の保険業法の一部改正や政府令、監督指針の改正を経て、2016年5月末に適用されました。生保労連では、こうした新たな募集ルールが適切に運用されているか等、継続的に確認していくこととしています。

また、募集・販売ルールや新たな保険商品・サービスのあり方などについては、今後も適宜検討が行われるものと考えられます。生保労連では、そうした検討に際しては、「消費者保護」をはかった上で「消費者利益」を損なうこととならないよう、「規制の法益」と「実務上の負担」の双方を比較考量しつつ検討を進めるべきであると考えます。

 

堅持していくべきルール

「銀行等による保険販売に関するルール」「構成員契約ルール」については、「消費者保護」「公正な競争条件の確保」の観点から堅持を

「堅持していくべきルール」については、代表的な例として、銀行の社会的影響力を利用した圧力販売を禁止する「銀行等による保険販売に関するルール(「銀行等による保険販売問題」への対応」)、企業代理店の職制等を通じた従業員(構成員)への圧力販売を禁止する「構成員契約ルール」が挙げられます。

これらのルールは、いずれも、お客さまを圧力販売等から守り、お客さまが多様なニーズに合わせて自由に保険を選択できるための「消費者保護に関するルール」として、さらには、保険販売の際に業態間の「公正な競争条件を確保するルール」として存在しているだけに、今後とも堅持していくべきルールであると考えます。

「構成員契約ルール」は、職制等を通じた従業員(構成員)への圧力販売を防止するために、企業代理店がその関係会社の従業員に対し、販売できる生保商品を限定するルールのことです。構成員向けに販売できるのは、ニーズ顕在型の第3分野商品(医療・介護等)のみとなっています。これは、従業員(構成員)が自由に商品を選択するために、不可欠なルールといえます。

生保労連は、「ニーズの潜在性」や「長期性」等といった生命保険商品の有する特性を踏まえれば、生保商品を販売する際には、お客さまのニーズにきめ細かく対応したコンサルティングが必要不可欠であると考えており、その前提として、顧客の主体的な選択機会が十分に確保されることが必要であると考えています。

「構成員契約ルール」の見直しを求める動きもありますが、以下のような問題点が発生することを懸念しており、「消費者保護」と「公正な競争条件の確保」の観点から、「構成員契約ルール」が存続されるよう、理解を求める活動を行っています。

 

ルールが緩和・撤廃された際の問題点

消費者保護の観点からの問題

  • 企業が手数料の獲得を目的として、職制等を通じて従業員(構成員)に圧力販売を行い、従業員が自由に商品を選択できなくなります。
  • 本来、自由競争の促進による利用者利便の向上を目的とするルールの見直しが、結果として手数料競争の激化と中間マージンの増加をもたらし、利用者利益につながらない恐れがあります。

公正な競争を阻害

  • 企業(機関代理店)が従業員市場を独占するようになり、営業職員が職域から締め出される可能性があります。

 

 

 

規制改革に取り組むべきルール

各種共済に関する制度・ルールの整備を

「規制改革に取り組むべき」制度の一例としては、「共済」に関するルール・法整備が挙げられます。

共済事業は本来、特定の人を対象としていますが、明らかに逸脱しているケースも見られる中で、保険と共済の不公正な競合事例が増加する恐れがあります。

「根拠法のない共済」(「特定保険業者」)については、保険業法の適用範囲の見直しにより、一部の団体を除き、保険の引き受けを行うすべての事業者に保険業法の規定が適用されることとなり、一定の前進がはかられました。なお、2010年11月には、再び保険業法が改正され、一定の要件に該当する団体は、当分の間、一般社団・財団法人への移行などを条件に、行政庁の認可を受けて事業を継続できることとなり、今後の動向に注視していく必要があると考えています。

一方、「根拠法のある共済」は、本来、相互扶助を目的として特定の組合員を対象に給付を行うものですが、各種制度共済は巨大化しており、生命保険との相違が不明確になっています。

私たちは、各種共済における共通のルール・法整備、保険と共済の監督体制の一元化、生保と同様のセーフティネットの整備など、各種共済に関する制度・ルール整備を進めるべきであると考えます。

 

〈主な共済事業〉

主な共済団体など

根拠法

監督官庁

JA共済連

農業協同組合法

農林水産省

生協など

全国生協連

(県民共済など)

地域を主体

消費生活協同組合法

厚生労働省

全労済

(こくみん共済など)

労働組合を主体

労働組合生協共済

中小・個人事業主向け労災補償共済

中小事業主労災等

共済事業法

企業内、PTA、町内会などの共済

なし

なし