生保労連(全国生命保険労働組合連合会)は生命保険会社の営業部門・事務部門に働く労働者25万人(19組合)を組織する労働組合です。

トップページ運動方針 2022年度 運動方針総合的な労働条件の改善・向上

2022年度運動方針

II. 総合的な労働条件の改善・向上

1. 全組合参加による総合生活改善闘争を推進する

(1) 総合生活改善闘争の推進

「総合生活改善闘争・基本方針」を決定し、「労働諸条件全般を見据えた総合的な生活改善闘争」として、年間を通じて、全組合参加による統一闘争に取り組む。

取組みにあたっては、組合員一人ひとりが「働きがい・生きがい」を実感できるよう、経営環境の変化や組合員の期待・ニーズ、社会的な要請等を踏まえ、総合的な労働条件の改善・向上に向けた統一闘争をより積極的に推進し、「統一取組み課題」の具体的前進をはかる。

統一闘争の推進にあたっては、2022春闘の成果と課題を十分に踏まえ、2023春闘の効果的な進め方に関する検討を行う。

総合生活改善闘争全体の目的・考え方として位置付けた「人への投資」については、「人への投資」と「生産性向上」の好循環実現に関して、引き続き定着・浸透をはかる。あわせて、「経済の好循環実現」に賃金改善が果たす意義・役割について、引き続き共通認識の醸成をはかる。

なお、総合生活改善闘争を進めるにあたっては、各組合の取組み方やスケジュール等を踏まえつつ、制度改正や組合提言等も含めて情報交換を行う。

また、今後の総合生活改善闘争について、共闘効果を一層発揮し、各組合のさらなる後押しにつなげる観点から、特別委員会として「今後の総合生活改善闘争に関する研究会」を設置して検討を行う。

2. 営業職員の魅力ある働き方を実現する

(1) 営業職員に対する活動支援の取組み

大きく変化する募集環境への的確な対応が求められる中、営業職員の挙績の安定および収入の向上や、安心して長く働き続けられる環境の整備をはかる観点から、営業職員の日々の活動に対する支援策の充実・強化がますます重要となっている。

本年度も、「営業支援策の充実」を総合生活改善闘争における「統一取組み課題」として設定し、「営業支援策取組み指針」を策定・確認した上で、秋季より積極的な取組みを行う。

また、デジタル化の進展等を背景に、従来の活動にオンラインによる活動を柔軟に取り入れた活動・働き方が常態化しつつある中、これまで各組合が獲得した営業支援策について、定着・浸透を一層はかる観点から、導入後の運用状況・課題等について情報交換を行う。

(2) 魅力ある労働条件・働き方の実現

営業職員体制を取り巻く環境が大きく変化し、新たな活動・働き方に対応していくことが一層求められる中、営業職員にとって魅力ある労働条件・働き方を実現していくことがますます重要となっている。

本年度も、「営業職員体制の発展・強化の取組み」を総合生活改善闘争における「統一取組み課題」として設定し、「最終報告」をベースに、直近の各社の制度改正等の動きも踏まえ、「採用・育成・教育への取組み」や「ベストアドバイザー活動の効果的な実践に向けた取組み」を推進する。

3. 安心と働きがいのもてる労働条件をつくる

(1) 賃金改善の取組み

総合生活改善闘争における取組みの重要な柱として、積極的な統一闘争を展開する。取組みにあたっては、中央委員会において「統一要求基準」をはじめとする「春季方針」を決定し、闘争体制の構築により共闘効果を高める。

なお、コロナ禍や国際情勢、上昇基調にある消費者物価等が組合員の生活・活動に与える影響について十分に注視する。

(2) 人事・賃金制度に関する取組み

人事制度改革の動きが広がる中、公平性・透明性・納得性の高い人事評価システムの確立に向けて、制度・運営全般を見据えた取組みが一層重要となっており、総合生活改善闘争の中で積極的な取組みを行う。
 また、多様化する各社の人事・賃金制度に関する動向や運営上の課題に関して、他産別の動向も含め情報交換・情報提供を充実・強化し、処遇全般のあり方や取組み課題について共有をはかる。
 具体的には、2021年度に実施した「『管理職の働き方および役割の変化』に関する研究」の取りまとめについて組織内外と広く共有する観点から、「キャリアフォーラム(仮称)」を開催する。
 あわせて、各組合の取組み支援につなげる観点から、社会的関心の高い「ジョブ型雇用制度」および「リスキリング」について情報提供・情報交換等を行う。
 さらに、IT技術革新等の環境変化が、内勤職員、とりわけ一般職・旧一般職の働き方やキャリア形成に与える影響について情報交換を行うなど、引き続きフォローに努める。

(3) ワーク・ライフ・バランスの実現

誰もがワークとライフ双方の充実がはかれるよう、「『職場におけるジェンダー平等』および『ワーク・ライフ・バランス』の着実な前進に向けた中期取組み方針〈2021年1月−2025年8月〉」に沿った取組みを推進する。

本年度も、「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組み」を総合生活改善闘争における「統一取組み課題」として設定し、積極的な取組みを展開する。取組みにあたっては、2017年度に生保協会との間で採択した「働き方改革に向けた生保産業労使共同宣言」を踏まえて行う。

具体的には、各組合におけるワーク・ライフ・バランス実現に向けた取組みを支援するため、情報共有の充実や研究・調査の実施、意識改革の推進、課題意識の共有を中心とした活動を行う。 

また、営業職員・機関長等の働き方について、中期取組み方針フォローアンケート結果等を踏まえ、各組合の現状や課題、好取組み事例等に関する情報交換・情報提供等を通じ取組みの前進をはかる。

さらに、2020年度に検討を行った各種ハラスメント対策についても、2020年6月に施行されたパワーハラスメント防止を企業に義務付ける法改正への対応状況等を注視しつつ、引き続き各社の取組み・対応状況や各組合の課題認識の把握・フォローに努める。

(4) 柔軟な働き方に関する検討

柔軟な働き方について、テレワークに関する制度やインフラ等が整備される中、引き続き各組合における課題認識等の把握に努めつつ運用実態の改善に努める。

また、フレックスタイム制度等の働く時間を柔軟に選択できる制度について、各社の状況や各組合の課題認識等の把握に努める。

さらに、副業・兼業について、生保産業においても一部の会社で導入が進む中、各社の状況や各組合の課題認識を踏まえるとともに、他産業における取組み事例等を参考にしつつ、生保労連の考え方の補強に向け意見交換を実施する。

(5) 多様な人材が活躍できる職場づくり

① 職場におけるジェンダー平等の推進

性別を問わず誰もが力を発揮できる職場づくりを一層進めるため、「ジェンダー平等」の取組みの意義・重要性について各組合への理解浸透に努めつつ、「『職場におけるジェンダー平等』および『ワーク・ライフ・バランス』の着実な前進に向けた中期取組み方針〈2021年1月−2025年8月〉」に沿った取組みを推進する。

取組みの推進にあたっては、総合生活改善闘争の中で積極的な取組みを行う。また、「ジェンダー平等推進委員会」を設置し、各社におけるジェンダー平等に関する現状および女性活躍推進法への対応状況、女性のキャリア形成に関する取組み、LGBTに関する取組み、各組合の課題意識等について情報交換を行うとともに、具体的な推進策の検討を行う。

② 60歳以降の就労環境の整備

60歳以降の就労に関する社会的要請の高まりを踏まえ、当該層の職務拡大や能力向上支援、適正な処遇の実現、多様なニーズに対応した就労環境の整備等に向け、各組合の実態および課題の把握に努めつつ、総合生活改善闘争の中で積極的な取組みを行う。取組みにあたっては、当該層が能力を一層発揮できるよう、60歳以前からの能力開発も含めた主体的・自律的なキャリア形成支援の視点や、「同一労働同一賃金」の考え方を十分に踏まえる。

また、定年延長については、各社の制度改正の動向を注視しつつ、当該層の職務や処遇、就労環境等に関する実態把握と、適正な制度運営の実現に取り組む。あわせて、70歳までの就業機会確保に向けた各社の動向や、各組合における課題認識等の把握に努める。

さらに、営業職員については60歳以降の占率が増加傾向にある中で、当該職員が安全・安心かつ働きがい・生きがいをもって活躍できる環境整備を一層はかる。

加えて、60歳以降就労者の処遇・働き方に関する認識の共有をはかり、各組合の取組み支援につなげる観点から、「60歳以降就労者の処遇・働き方に関する研究会(仮称)」を開催する。

③ パート・契約社員に関する取組み

パート・契約社員の処遇改善や働きやすい職場環境の整備に向け、総合生活改善闘争の中で積極的な取組みを展開する。

とりわけ、2018年4月から本格化した無期契約化への各組合の対応状況について引き続きフォローするとともに、2020年4月から導入された「同一労働同一賃金」の考え方を踏まえた処遇改善の取組みを推進する。

④ ダイバーシティ&インクルージョンに関する取組み

ダイバーシティ&インクルージョン(多様な人材や価値観を認め合い、組織の力や創造性の発揮につなげていくこと)の考え方を踏まえ、女性や60歳以降の就労者、パート・契約社員、LGBT、障がい者、外国人等が安心と働きがいをもって仕事に従事できる環境整備に向け、総合生活改善闘争の中で積極的な取組みを行う。取組みにあたっては、それぞれの実態やニーズ等を踏まえつつ、取組みを推進する。

(6) 適正なワークルールの確立

① 労働法制・労働行政への対応

組合員の雇用・労働環境に大きく係わる労働法制および労働行政の動向を的確に把握し、適宜情報提供・情報交換を行う。

具体的には、「総合労働政策2018」および「政策集2021」を踏まえ、必要に応じて国政・行政への意見反映、連合運動への積極的な参画等を通じて対応をはかる。

「事業場外みなし労働時間制」をめぐる課題については、諸動向を注視するとともに、営業職員にとって働きやすい環境整備等の観点から、必要に応じ行政当局をはじめとする関係各方面への働きかけを行う。

② 総合労働政策の活用・充実

「総合労働政策2018」について、組織内への浸透に努めるとともに、情勢を踏まえつつ内容の充実をはかり、各組合における労使協議を支援する。

また、「総合労働政策2018」で示した考え方を踏まえ、連合の諸会議等において意見表明に努める。