2024年度運動方針
II. 総合的な労働条件の改善・向上
1. 全組合参加による総合生活改善闘争を推進する
(1) 総合生活改善闘争の推進
本議案において、「総合生活改善闘争・基本方針」を決定し、「労働諸条件全般を見据えた総合的な生活改善闘争」として、年間を通じて、全組合参加による統一闘争に取り組む。
取組みにあたっては、組合員一人ひとりが「働きがい・生きがい」を実感できるよう、経営環境の変化や組合員の期待・ニーズ、社会的な要請等を踏まえ、総合的な労働条件の改善・向上に向けた統一闘争をより積極的に推進し、「統一取組み課題」「主体的取組み課題」の具体的前進をはかる。
統一闘争の推進にあたっては、2024春闘の成果と課題を十分に踏まえ、2025春闘の効果的な進め方に関する検討を行う。
総合生活改善闘争全体の目的・考え方として位置付け、「2022年度特別委員会」で理論補強を行った「人への投資」について、引き続きその重要性の共有をはかるとともに、「人への投資」と「生産性向上」の好循環実現についてもさらなる定着・浸透をはかる。あわせて、大きな従業員規模を持つ産業の労働組合として、「経済の好循環実現」という社会的要請に応えることの意義・重要性を踏まえつつ、取組みを推進する。
なお、総合生活改善闘争を進めるにあたっては、各組合の取組み方やスケジュール等を踏まえつつ、制度改正や組合提言等も含めて情報交換を行う。
2. 営業職員の魅力ある働き方を実現する
(1) 営業職員に対する活動支援の取組み
大きく変化する募集環境への的確な対応が求められる中、営業職員の挙績の安定および収入の向上や、安心して長く働き続けられる環境の整備をはかる観点から、営業職員の日々の活動に対する支援策の充実・強化の重要性は一段と増している。
本年度も、「営業支援策の充実」を総合生活改善闘争における「統一取組み課題」として設定し、「営業支援策取組み指針」を策定・確認した上で、秋季より積極的な取組みを行う。
また、これまで各組合が獲得した営業支援策について、定着・浸透を一層はかる観点から、導入後の運用状況・課題等についても情報交換を行う。
(2) 魅力ある労働条件・働き方の実現
営業職員体制を取り巻く環境が変化し、厳しさが続く中、他産業の動向等を注視しつつ、社会から選ばれ、長く安心して働ける環境づくりに向け、営業職員の労働条件や働き方の魅力度向上に取り組む。
「営業職員体制の発展・強化の取組み」については、総合生活改善闘争における「統一取組み課題」として設定し、直近の各社の制度改正等の動きも踏まえ、採用・育成や「資格・給与等に関する諸制度の充実と適正な運用」に関する取組みを中心に推進する。
3. 安心と働きがいのもてる労働条件をつくる
(1) 賃金改善の取組み
総合生活改善闘争における取組みの重要な柱として、積極的な賃金改善の流れを一層加速させていく必要があるとの認識の下、統一闘争を展開する。
「統一要求基準」の策定に向けては、各社の業績・決算状況、消費者物価の動向をはじめとした経済・景気動向等が組合員の生活・活動に与える影響について十分に注視しつつ、早期に検討を行う。
取組みにあたっては、中央委員会において「統一要求基準」をはじめとする「春季方針」を決定し、闘争体制の構築により共闘効果を高める。
(2) 人事・賃金制度に関する取組み
人事制度改革の動きが広がる中、公平性・透明性・納得性の高い人事評価システムの確立に向けて、制度・運営全般を見据えた取組みが一層重要となっており、総合生活改善闘争の中で積極的な取組みを行う。
また、多様化する各社の人事・賃金制度に関する動向や運営上の課題に関して、他産別の動向も含め情報交換・情報提供を充実・強化し、処遇全般のあり方や取組み課題について共有をはかる。あわせて、IT等の技術革新をはじめとした環境変化や組合員の就労ニーズの変化等を踏まえ、引き続き「学び・学び直し」に関する課題認識や習得したスキルの活用状況、習得後のキャリア開発等について情報交換を行う。
加えて、各組合の取組み支援につなげる観点から、必要に応じて「人事・賃金制度研究会」を開催する。
(3) ワークとライフ双方の充実
誰もがワークとライフ双方の充実がはかれるよう、「『職場におけるジェンダー平等』および『ワーク・ライフ・バランス』の着実な前進に向けた中期取組み方針<2021年1月−2025年8月>」に沿った取組みを推進する。また、「中期取組み方針」に基づく取組みの最終年度であることからその総括を行うとともに、次期方針の策定に向けた検討を行う。特に進捗が遅れている課題については、好取組み事例の共有や各組合の個別課題の把握、ヒアリング等を通じて、解決に向けた積極的な働きかけを行う。
総合生活改善闘争においては、「誰もが安心と働きがい・生きがいをもてる職場の実現に向けた取組み」を「主体的取組み課題」として設定し、その中で「ワークとライフ双方の充実」に向け、以下の点を中心とした積極的な取組みを展開する。
また、営業職員・機関長等の働き方について、中期取組み方針フォローアンケート結果等を踏まえ、各組合の現状や課題、好取組み事例等に関する情報交換・情報提供等を通じ取組みの前進をはかる。
さらに、安心して働き続けられる職場づくりの観点から、仕事と介護・治療等との両立について、引き続き各組合の取組み状況や課題認識の把握・フォローに努める。
加えて、各種ハラスメント対策についても、法改正の動向等を注視しつつ、引き続き各社の取組み・対応状況や各組合の課題認識の把握・フォローに努める。
(4) 柔軟な働き方に関する検討
テレワークやフレックスタイム制等が拡充される中、柔軟な働き方について、引き続き各組合における課題認識等の把握に努めつつ運用実態の改善に努める。
(5) 多様な人材が活躍できる職場づくり(ダイバーシティ&インクルージョンに関する取組み)
ダイバーシティ&インクルージョン(多様な人材や価値観を認め合い、組織の力や創造性の発揮につなげていくこと)の考え方を踏まえ、女性や60歳以降の就労者、パート・契約社員、LGBTQ、障がい者、外国人等が安心と働きがいをもって仕事に従事できる環境整備に向け、それぞれの実態やニーズ等を踏まえつつ、総合生活改善闘争の中で積極的な取組みを行う。
① 職場におけるジェンダー平等の推進
性別を問わず誰もが力を発揮できる職場づくりを一層進めるため、「ジェンダー平等」の取組みの意義・重要性について各組合への理解浸透に努めつつ、「『職場におけるジェンダー平等』および『ワーク・ライフ・バランス』の着実な前進に向けた中期取組み方針<2021年1月−2025年8月>」に沿った取組みを推進する。また、「中期取組み方針」に基づく取組みの最終年度であることからその総括を行うとともに、次期方針の策定に向けた検討を行う。特に進捗が遅れている課題については、好取組み事例の共有や各組合の個別課題の把握、ヒアリング等を通じて、解決に向けた積極的な働きかけを行う。
取組みの推進にあたっては、総合生活改善闘争の中で積極的な取組みを行う。また、「ジェンダー平等推進委員会」を設置し、各社におけるジェンダー平等に関する現状や、女性のキャリア形成およびその支援に関する取組み、LGBTQに関する取組み、各組合の課題認識等について情報交換を行うとともに、具体的な推進策の検討を行う。
② 60歳以降の就労環境の整備
60歳以降の就労について、当該層の職務拡大や能力向上支援、適正な処遇の実現、就労環境の整備等に向け、各組合の実態および課題の把握に努めつつ、総合生活改善闘争の中で積極的な取組みを行う。取組みにあたっては、当該層が能力を一層発揮できるよう、60歳以前からの能力開発も含めた主体的・自律的なキャリア形成支援の視点や、「同一労働同一賃金」の考え方を十分に踏まえる。
また、定年延長や、70歳までの就業機会確保に向けた各社の動向、各組合における課題認識等の把握に努める。
あわせて、営業職員については60歳以降の占率が増加傾向にある中で、当該職員が安全・安心かつ働きがい・生きがいをもって活躍できる環境整備を一層はかる。
③ パート・契約社員に関する取組み
パート・契約社員の処遇改善について、当該層が働きやすい職場環境の整備に向け、総合生活改善闘争の中で積極的な取組みを展開する。
取組みの推進にあたっては、「同一労働同一賃金」の考え方に沿って、実態把握や課題認識の共有に努める。
(6) 適正なワークルールの確立
① 労働法制・労働行政への対応
組合員の雇用・労働環境に大きく係わる労働法制および労働行政の動向を的確に把握し、適宜情報提供・情報交換を行う。
具体的には、「総合労働政策」および「政策集2023」を踏まえ、必要に応じて国政・行政への意見反映、連合運動への積極的な参画等を通じて対応をはかる。
また、「事業場外みなし労働時間制」をめぐる課題については、諸動向を注視するとともに、営業職員にとって働きやすい環境整備等の観点から、必要に応じ行政当局をはじめとする関係各方面への働きかけを行う。
② 総合労働政策の活用・充実
「総合労働政策」について、直近の労働法の改正動向や社会環境の変化等を踏まえつつ、適宜理論補強を行うとともに、各組合への理解浸透に努める。
あわせて、連合諸会議等において、「総合労働政策」で示した考え方を踏まえ、意見表明に努める。